周知のことではあるが、地球温暖化のおさらいから始めたい。地球に届いた日射エネルギーの七割は、地表に吸収され、熱に変わる。さらに、加熱された地表から放射される赤外線が大気中にある「温室効果ガス」に吸収され、その一部が地表に放射されることで地表の温度が上がる。これが「温室効果」であり、その作用によって地球の気温は保たれている。つまり温室劫果ガスは温室のガラスのように、太陽の熱は通し、中の熱は通さない役割をしている訳だ。しかし、人間の様々な活動に伴って大気中の温室効果ガス濃度が高まるにしたがって、温室効果が強まり、気温が上昇している。これが「地球温暖化」である。この地球温暖化に伴う海面上昇や農業、自然生態系の変動が、私たちの生活へ悪影響を与えることが懸念されている。 温室効果ガスには様々なものがあるが、温暖化への寄与率が高く特に問題にされているのは二酸化炭素だ。二酸化炭素濃度は、産業革命以前は280ppm程度であったが、現在では358ppmに違している。このままいけば、来世紀の半ばには産業革命以前の倍にまでなるといわれている。この二酸化炭素濃度増加のもっとも大きな原因は、石油や石炭などの化石燃料の燃焼だ。日本の化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出量は、世界第4位である。 気候変動枠組条約は大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目的として、地球温暖化に関する国際的取り組みについて枠組みを設定する条約である。1995年にベルリンで開催された第一回条約締約国会議において、2000年以降に締約国が取るべき措置の検討を進めることが合意され、1997年12月には、この結論をまとめるための第3回条約締約国会議が京都で開催された。 この会議で採択された議定書(京都議定書)では、法的拘束力のある温室効果ガス削減の目標が定められている。この目標は各国で異なるが、その削減目標は1990年を基準年として、2008年から2012年までに日本は6パーセント、アメリカ合衆国は7パーセント、EUは8パーセント、先進国全体で5.2パーセントとなっている。 またこの議定書では、温室効果ガスの排出量は、1990年以降に植林された森林の温室効果ガス吸収量を差し引いて取り扱うこととなっており、二酸化炭素の吸収源としての森林の機能が改めてクローズアッブされたことは記憶に新しい。 |
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